臨床エンブリオロジストとは

エンブリオロジストの仕事

1978年イギリスで世界初の体外受精児が産まれ、受精と胚(受精卵)発育の場である卵管に障害のある人の妊娠、出産が成功しました。この時に精子、卵子の受精環境を整え、受精を確認し、胚を育てたのがエドワード博士でした。
このエドワード博士にならい、不妊治療ラボの専門技術者がエンブリオロジストです。
仕事は、精液検査、良好精子収集、医師が採取した卵胞液から卵子収集と培養、媒精(シャーレ内で精子と卵子を混合培養して受精を促す)と顕微授精(顕微鏡下で卵子に精子を注入)をします。約18時間後に受精確認(卵子内に精子と卵子由来の2つの前核を確認)し、別の培養液を入れたシャーレに移して胚を育てます。他に精子や胚の凍結保存および融解や孵化補助などの処置もします。

Q&A

Q 日本臨床エンブリオロジスト学会はどんな学会ですか?

A エンブリオロジストの知識と技術の向上をめざし、平成8年に会員100名で「臨床エンブリオロジストの会」を発足、顕微授精や凍結保存などのワークショップを毎年開催し全国に技術を広めて来ました。平成13年には会員300名で「日本臨床エンブリオロジスト研究会」と改称し、研修した証として認定資格制度を発足、平成17年に創立10周年記念大会を開催し会員500名で「日本臨床エンブリオロジスト学会」と改称しました。併せて「エンブリオロジストのためのART必須ラボマニュアル」「エンブリオロジストのためのART標準実技ラボマニュアル」を編集発行するなど精子、卵子と受精、胚培養、凍結保存などの知識・技術向上を通じて社会貢献する活動を続けています。基盤はエンブリオロジストのエンブリオロジストによるエンブリオロジストのための学会です。

Q 会員数はどれくらいいるのですか?

A 2024年2月末現在、約786名です。

Q 認定臨床エンブリオロジストとは?

A 平成13年に当学会がエンブリオロジストの特殊技術と知識を修得した者のために日本初の認定資格制度を作りました。当会ワークショップや共催研究会などにおいて2回以上の研修を受け、ARTラボで実際に業務している当会会員で、筆記、実技、面接の試験に合格した者に認定資格を授与してきました。令和6年からは日本臨床エンブリオロジスト学会と日本卵子学会の認定資格が統一され、将来的には公的な資格として認められることが期待されています。

Q エンブリオロジストになりたいのですが?

A 当会をはじめ関連団体や職場での研修を積んだ臨床検査技師、獣医、畜産、農学生物系学部卒業者、または医師、看護師、薬剤師など、多くのバックグラウンドを持った方が生殖補助医療の現場でエンブリオロジストとして活躍されています。多くの方は業務や学習を通じて知識や技術を身に付けています。また、最近ではエンブリオロジスト育成を目的とした学科、大学院を設置する大学も増えてきており、今後、エンブリオロジストの活躍の場はますます広がるものと考えられています。

Q エンブリオロジストの教育はどのように行っているのでしょうか?

A 当会では、学術大会(年1回)、実技ワークショップ、Webセミナーなどを通じてエンブリオロジストの知識、技術の向上に努めています。多くの知識や確実正確な技術が求められるエンブリオロジストには継続的な教育と学習が求められます。